久留米の商店街にたたずむ「田中屋呉服店」は、1920年創業の老舗。現在は三代目がその想いを受け継ぎ、地域に根ざしたお店づくりを大切にされています。
かつては福岡市内などにも店舗を展開していたそうですが、原点である久留米本店をより大切にしたいという想いのもと、今もこの街でお客様一人ひとりと丁寧に向き合っています。
昔ながらのつながりが残る商店街で、今日もお客様の“夢”を応援し続けています。
今回は、「田中屋呉服店」の三代目、田中社長にお話を伺いました。商店街に根ざし、人とのつながりを大切にする同店の歴史や接客のこだわり、豊富なラインナップ、そして新しい挑戦について語っていただきました。
100年以上続く老舗呉服店の、提案型接客の秘密
1920年、久留米の商店街で創業した田中屋呉服店。 2025年には創業106年を迎える老舗で、三代目の社長が現在の店舗を守り続けています。
「かつては博多や天神にも展開しましたが、祖父から始まった本店を残したいという思いが強く、今もここで人とのつながりを大切にしています」と社長は語ります。商店街だからこそ感じられる、昔からの仲間やお客様との温かい交流が、田中屋の魅力の根幹を支えています。
田中屋呉服店では、お客様が来店されたときから“特別な体験”が始まります。

「この中から選んでください」といった決まった提案ではなく、「どんな風になりたいですか?」という問いかけからスタートします。

どのような風にかわいくなりたいのか。かわいいにも色々なジャンルがあるんです。フワフワかわいくなりたいのか、キラキラにしたいのか、モダンに洗練されたイメージにしたいのか。お客様に丁寧にヒアリングして、そして提案していきます。ジャンルから一緒に考えるんです。
「キラキラかわいくしたい」「落ち着いたモダンな雰囲気が好き」など、目指すジャンルのイメージを一緒にふくらませながら、振袖・帯・小物・ヘアスタイルに至るまで、トータルでコーディネートを提案してくれます。
例えば同じ振袖でも、トレンドアンティークスタイル、ヴィンテージスタイル、グラマラススタイルなど小物やヘアスタイルで全く違う雰囲気になります。お客様からも「好みを引き出してくれて良かった」や「話を丁寧に聞いてくれて、満足のいく振袖を選ぶことができて満足です」という声も多々あるそうです。
お客様一人ひとりの「こうなりたい」という想いにしっかりと寄り添ってくれる、田中屋呉服店ならではの接客スタイル。ただ振袖を選ぶだけでなく、どんなふうに過ごしたいのか、どんな印象を与えたいのかまで丁寧に聞き取りながら、一緒に選ぶ時間そのものを楽しませてくれます。
「ホームページやパンフレットで見るイメージと、実際の店舗での提案が全然違う」と驚くお客様も多く、来店客の95%が満足して契約に至る高い決定率を誇ります。社長は「お客様の夢を叶えることが我々の使命」と強調し、押しつけではなく寄り添う姿勢を徹底しています。
来店された方の約95%が田中屋で振袖を決めているというのも納得です。
振袖選びに少し不安を感じている方にも、自信をもっておすすめできるお店です。
振袖から浴衣まで—人生の節目に寄り添う豊富なアイテム

取り扱っている商品は、振袖・一般呉服・浴衣など多岐にわたります。

なかでも振袖は全体の約7割を占めており、成人式や卒業式など、人生の節目を彩るシーンに多く選ばれています。店内には800枚前後の振袖が常時ストックされており、これは一流メーカーと年間2,500枚以上の契約を続けてきた信頼関係によるもの。

オリジナル小物も豊富にそろっているため、「同じ振袖でも全く違う雰囲気に仕上がる」と好評です。
田中屋呉服店のラインナップは、振袖を中心に、一般呉服や浴衣まで幅広く揃います。振袖レンタルは全体の7割を占め、成人式や卒業式、結婚式などの特別な日だけでなく、家族の晴れの日にも選ばれています。
もともと「田中屋呉服店」は販売専門のお店でしたが、「ここには質の良い商品があるから、ぜひ借りたい」というお客様の声が多く寄せられるようになり、レンタル事業をスタート。そうしたお客様の思いに応える形で、今ではレンタル需要が大きく広がっています。専門店ならではの強みとして、京都の発表会で買い付けた確かな品質の商品が揃い、数も豊富に取り揃えています。
現在は約800枚の常備振袖があり、一流メーカーとの信頼関係による質と色柄の豊富さが魅力です。オリジナル小物も多く、コーディネートの幅が広がるため、お客様が本当に望む「なりたい姿」を叶えることができます。前撮り写真やメイキング映像もオリジナルの一流写真館と提携して提供されており、単なる衣装レンタルにとどまらない感動体験を届けています。
そして夏の風物詩である浴衣にも力を入れています。ふらっと立ち寄れるように、夏には店頭に浴衣が並んでいます。

最近は浴衣の需要も増えていて、筑後川花火大会や土曜夜市に着て行くために寄ってくださるお客様も多いんですよ
と社長は嬉しそうに話してくれました。取材させていただいた時も、地元の高校生が楽しそうに店頭に並んだ浴衣を選んでいました。社長も自ら積極的に「たくさん柄もあるから見ていってね」と声をかけており、その姿がとても印象的でした。浴衣のお値段もお手頃価格なので、気軽に立ち寄れることも魅力だなと感じました。
夏の時期には、商店街の店頭に手頃な価格の浴衣が並び、通りがかりにふらっと立ち寄るお客様も多いようです。リーズナブルでかわいい浴衣が揃っていることから毎年浴衣目当てで来られるお客様も。地元の方にとっては、久留米の夏のお祭り『土曜夜市』や『筑後川花火大会』前の頼れる一軒になっています。
伝統を守りながら、SNSで広がる新たな魅力

田中屋では、創業以来ずっと変わらない「お客様の夢を叶える」という信念を大切にしながら、時代に合わせた発信にも取り組んでいます。
Instagram (@tanakayagofukuten_kurume)やTikTok(@tanakaya.yumeko)などのSNSを通じて、コーディネート提案や浴衣撮影の様子、田中屋が手掛ける独自のスタジオ『KAGUYA』の様子などを発信中。

着方提案の動画や、スタッフの想いを語るコンテンツを通して、若い世代にもリアルな魅力を届けたい
店頭に足を運ぶ前から、「こんなふうに着てみたい」「こんな振袖もあるんだ」「こういうスタジオで実際に撮影できるんだ」とワクワクできるよう投稿づくりに力を入れているそうです。動画や写真で伝えることで、振袖選びがもっと身近に、もっと楽しみに感じられる、そんな工夫がたっぷり詰まっています。
SNSを通じて、単なる“着物屋”ではなく、夢を描きながら理想の一着を選べる体験型ブランドとしての価値を広く伝えることが、田中屋の新たな挑戦です。
あなたの“なりたい姿”を、一緒に叶えてくれる場所

田中屋呉服店は、「うちで決めてください」と押しつけるような接客はしません。
田中屋呉服店は、創業106年の歴史を誇りながらも、決して過去にとらわれることはありません。「うちで決めてください」とお客様に押しつけることは一切せず、「あなたの夢を叶えます」と丁寧に寄り添う姿勢を貫いています。
振袖や浴衣、呉服といった豊富な商品ラインナップと、理想を叶える提案力、SNSを活用した若い世代への発信力が融合することで、田中屋はこれからも久留米で大切な一着と出会える場所であり続けます。商店街に根ざし、人とのつながりを大切にする老舗だからこそ、ここではお客様の夢が形となり、心からの満足と感動が生まれるのです。
取材を通じて感じたのは、田中社長の笑顔や全力で語る姿から伝わる、熱意とお客様への思いやりです。そのエネルギーは、語られる言葉のひとつひとつからもあふれていました。 これからの「田中屋呉服店」の発展も、ますます楽しみになりました!
店舗情報
| 店 名 | 田中屋呉服店 |
| 住 所 | 久留米市六ツ門町10-2 |
| 営業時間 | 10:00~19:00 |
| 定休日 | 毎週火曜(祝日の場合、通常営業) |
| 電話番号 | 0942-39-5298 |
| ホームページ | https://www.yumemiru-yumeko.jp/shop/honten |


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