黒岩洋傘店 明治から続く、暮らしに寄り添う傘と温かな接客

明治22年に創業した「黒岩洋傘店」。商店街の一角で、今も変わらぬ姿で佇むお店は、私が幼い頃から見慣れた懐かしい風景です。店先の古い木製看板や、少し色あせた木の扉を見ると、どこか安心感とほっとする温かさが広がります。創業から130年以上、現在はお母さまと娘さんのお二人で切り盛りされ、娘さんが店主として歴史を受け継いでいます。長く続く老舗だからこそ感じられる時間の積み重ねが、店全体から漂っているように感じます。


商店街の景色に自然と溶け込む、落ち着いた佇まい。昔からずっと変わっていない大きな傘マークの看板やお店のロゴは、商店街を歩く人々に静かな安心感を与えています。幼い頃からこの光景を見てきた私にとっても、どこか懐かしい気持ちが込み上げてきます。

目次

変わらない信念とお客様への思い

黒岩洋傘店の根底にあるのは、「お客様を大切にすること」です。祖父の代から受け継がれるこの信念は、時代を超えて今も大切に守られています。

祖父は義理人情に厚い人でした。利益よりもまず、目の前のお客様を大事にしていました。

傘を求めるお客様のニーズは昔も今も大きく変わっていません。丈夫で長く使える傘を求める気持ちは、時代が変わっても変わらないものです。特に年配のお客様が多いこともあり、仕入れの際には「重すぎず、それでいて丈夫な傘」を選ぶことを心がけています。

接客していて、お客様がどんな傘を求めているかを考えることが大切です。雨の日も晴れの日も、快適に使ってもらえる傘を選ぶようにしています。

豊富な傘と小物のラインナップ

店内には紳士用傘や婦人用傘、日傘、雨傘兼用タイプ、折り畳み傘など、さまざまな傘が約400本並んでいます。シックな柄からかわいい柄まで品揃えが豊富なので、店内を見ているだけでも楽しい気持ちにさせてくれます。今回は、風に強い作りがしっかりした傘や、旅行でも重宝しそうな傘が目に留まったので2点ご紹介します!

【傘の骨が16本 風にも負けない傘】


通常8本の骨に比べ、16本の骨が生む強さと安定感は圧倒的。台風の日でも安心して使える頑丈さが魅力です。風が強い日も、しなやかに支えてくれる傘の骨を見て、日常使いにぴったりだと感じました。

【2段折り畳み傘】

2段折り畳み傘は、広げるとしっかりとした大きさで安心感があり、普段使いから特別な日まで幅広く活躍します。折り畳み傘とは思えない広がりと存在感があり、手にした瞬間の驚きがあります。私自身、折り畳み傘は少し華奢で頼りないという印象を持っていましたが、この傘はその固定観念を覆してくれました。広げた瞬間の安定感は、見た目以上の安心感を与えてくれます。

折り畳み傘でも、広げたときにしっかりしている傘を揃えています。普段使いにも特別な日にも安心です!

また、帽子やストール、冬にはマフラーや杖など、日常に寄り添うアイテムも揃います。どれもさりげなく並んでいるのに、生活に彩りを加えてくれるものばかりで、思わず手に取りたくなります。

【様々なジャンルの傘がたくさん】


傘が所狭しと並ぶ中、帽子やストールなどの小物も丁寧にディスプレイされています。
装いを引き立てる小物が充実しており、日常のちょっとした贅沢やおしゃれ心を満たしてくれます。

【傘とともに並ぶ帽子やストール】

傘を大切に、長く使うために

黒岩洋傘店では、購入した傘だけでなく修理も受け付けています。そのなかでも多いのは、骨の修理で、梅雨時期に増えたり、折り畳み傘の修理依頼も結構あるそうです。

7回、8回と同じ傘を修理に持ち込むお客様もいます。

濡れたまま畳むとカビやサビの原因になります。乾かしてからしまうことで長く使うことができます。

中には、お母様の形見の傘を修理しながら大切に使う方もいます。傘が単なる道具ではなく、人生の思い出や絆を宿す存在であることに胸を打たれました。

接客を通して伝わる魅力

黒岩洋傘店はオンライン販売を行っていません。理由は、実際に手に取り、広げて試して納得できる商品を選んでもらいたいからです。

対面での接客だからこそ、お客様に寄り添った丁寧な時間が生まれます

笑顔で柔らかい雰囲気のお二人だからこそ、お客様に寄り添う接客が可能です。傘を広げ、手に取り、話す。対面だからこそ生まれる時間が、お客様の満足につながっています。

商店街と共に歩む老舗

黒岩洋傘店は商店街のイベントにも積極的に参加しています。夏の土曜夜市では運営側として携わり、まちあるきイベントではタオルや手ぬぐいを手頃な価格で販売。地域と共に歩む姿勢が、長く続く理由を物語っています。

先代から続けてきたお店なので、できるだけ長く守り続けたいです。

その言葉には、代々受け継がれた誇りと責任、そしてお客様への深い愛情が込められています。

傘とともに紡ぐ、あたたかな日常

黒岩洋傘店は単に傘を売る場所ではなく、人と人が心を通わせる場所であるということ。お気に入りの傘を見つける楽しさ、長く大切に使い続ける喜び。それを支えるお店の存在が、商店街の中で静かに、確かに光を放ち続けています。

商店街の一角で、今日も黒岩洋傘店は人々の日常をやさしく支えています。これからも、多くの人に寄り添い、長く愛され続けるお店であることは間違いありません。

店舗情報

店 名黒岩洋傘店
住 所久留米市六ツ門町10-8
営業時間10:00~18:30
定休日水曜日
電話番号0942-32-5726
ホームページhttps://mutsu-ake.hotomeki-dori.jp/kuroiwa/
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